日本心臓血管麻酔学会第18回学術大会@小倉に参加しました。

心臓血管麻酔学会の学術大会が小倉で9月27日金曜日から3日間にわたり開催されました。今回は新幹線で3日間通ってみました。新幹線から降りるとポスターが!

今回は期間中を通して抄録アプリが大活躍でした。日程表から興味があるものをマイスケジュールに登録すると自分専用タイムテーブルが作成され、それを見ながらスムーズな会場移動が可能で抄録もすぐに見れるし、本当に助かりました。

どの講演も勉強になりましたが、その中から少し紹介したいと思います。<第1日目のシンポジウム1:抗血栓療法の最前線>
抗血小板薬・抗凝固薬について、新規に出ている薬剤を含めて管理の複雑性や注意点等についての講演でした。抗血小板薬のガイドラインの存在は現時点の知見であり、周術期の抗血小板薬使用にはやはり個々の症例で状況に応じた検討が必要となるケースが少なからずあります。座長の畠山先生でさえ難しい症例があると言われており、一つの見方だけではなく総合的に判断する能力が我々麻酔科医には必要であると考えさせられたシンポジウムでした。<第1日目の教育講演3:論文の書き方>
日本心臓血管麻酔学会誌の投稿規定に沿って、論文を書く際に一般的に注意する点や論理展開についての講演でした。日々の術前回診やカルテのSOAPを正確に行う事が論文構成に通じる点や、症例報告の重要性について、松田先生御自身の経験を交えながらの大変有意義な御講演でした。投稿された論文を編集委員全体で教育的視点を踏まえて校正されているとのお話もあり、先生方の熱い思いに胸を打たれる講演でした。<第2日目:HeartTeamにおける麻酔科医の役割>
私たちは個々の患者さんにベストの治療を行えるように、常に各科が協力体制をとって日々の診療にあたっていますが、循環器領域ではハートチームという言葉がヨーロッパのガイドラインに明記されてから脚光を浴びています。外科、循環器科、麻酔科、ナース、臨床工学士、理学療法士、薬剤師などが協力してチーム医療を行っていますが、ハートチームにおける麻酔科医の役割について各科の先生を交えて議論が交わされました。<第3日目:冠動脈攣縮機序について>
Rhoキナーゼ阻害薬についての講演でした。選択的Rhoキナーゼ阻害薬が冠攣縮の治療薬となり得る機序について木下先生の実験データと文献的考察を含めてお話があり新たな知識を得ることが出来ました。会期中の最後のセミナーでしたが出席して大きな収穫となりました。

その他にもROTEMハンズオン、イブニングセミナー、ポスターでの興味深い症例報告など、盛り沢山な勉強になった学会でした。12年前にこの学会に初参加してもう一回りしたんだなぁとしみじみ振り返るにつけ、最近出席のみなので来年の大会@大阪では何か出したいなぁと思案しております。

手技や薬剤が日々進歩していきますが、患者さんのよりよい回復に繋がるようにチームで努力して取り組みたいと思いを新たに出来た学会参加でした。