第55回九州麻酔学会
4大学麻酔科野球大会
随分遅くなりましたが、7月15日の土曜日に久留米大学を主管とし、熊本大学、鹿児島大学、宮崎大学の4大学が参加し野球大会が開催されました。一昨年(2015年)は雨のため中止、昨年(2016年)は熊本地震の影響で久留米と熊本大学が不参加で、3年ぶりの開催になります。
会場は前回行った筑後市の県立公園のグラウンドが使用できればよかったのですが、グラウンドの予約が取れず、久留米大学本学の野球部が使用している藤山球場で行われました。
大会の行われる前は、1週間近く雨が降り続き、朝倉市や日田市で豪雨災害に見舞われるなど、開催が危ぶまれるような状況でしたが、大会の日が近づくにつれ、天候が回復し、試合の当日はかんかん照りの快晴のもと試合は行われました。
日頃、体を動かす機会が少ない環境の中で、試合の前には何回か練習を行うことが通例でしたが、今年は、50周年の開講記念会の準備など忙しく、まさに「ぶっつけ本番」みたいな感じで試合は行われましたが、ピッチャーの濱田先生の投球がテンポよく、ショートの平木先生やセカンドの太田先生の守りなど本当にぶっつけ本番なのというようなプレーの連続でした。夜は、ホテルでの懇親会を経て、夜遅くまで久留米の街を堪能されたと思います。
来年は熊本大学の主管で行われますが、トーナメント方式からリーグ戦にしようと提案が出ています。3試合行うとなるとピッチャーを3人以上そろえる必要があり、1年以内に準備できるのか不安ですが、来年も楽しめるような野球大会になればよいと思います。
最後に、審判(主審・線審)をつとめてくれた久留米大学野球部(本学)の学生に感謝の意を伝えて稿を終わります。本当にありがとうございました.
50周年記念開講記念会および無敵剛介先生の米寿を祝う会
7月1日(土)に本学麻酔学講座の50周年の開講記念会が久留米市の萃香園ホテルで多数の参加者を集めて行われました。さらに、本学の初代教授である無敵剛介先生が米寿を迎えられたことのお祝いも兼ねて行われました。
本学は1967年4月1日に麻酔学講座が開講されました。手術室の麻酔が主体だった時代から、ペインクリニック・緩和ケアの分野、集中治療・和痛分娩・周術期管理チームの時代へ麻酔科自身が発展していく時期に数多くの先生方の協力でここまでやってきました。開講当初のモニターは心電図、非観血的血圧計しかない時期であり、現在は、観血的動脈圧から心拍出量を知る(Flow-track system)や脳の酸素飽和度を測定する装置(rSO2)や至適効果部位濃度(Target Control Infusion)を意識した麻酔管理など、麻酔を行うシステムは進化しています。短時間作用型の新しい薬も増え、麻酔管理は以前と比べ、管理しやすくなりました。次の50年には人工知能(Artificial Intelligence、A.I)による自動麻酔システムが入ってくるのでしょうか?ヒトがかかわる分野は減っていくのでしょうか?
ただ、ペインクリニックや緩和ケアをはじめ、集中治療や救急の現場では尊厳死や臓器移植、終末期医療のことなど人と人のつながりを重視する分野も残っています。
それもA.Iに置き換わられる時代が来るのでしょうか?次の10年(60周年)、20年(70周年)に向けて、一歩ずつ着実に進めていきたいと思います。
参加者の中からは「白寿のお祝いにも呼んでいただければ」との声もありました。現在も診療をされていることを考えると、無敵先生であれば白寿から百寿者の仲間入りもありうると思います。これからもよろしくお願いします。(文責 麻酔科医局長 佐藤 輝幸)
医局長3期目に突入にあたって
麻酔科医局長の佐藤です。2015年4月より医局長に就任し、4月から3期目に突入します。前任者の平木先生が3年されたことから、通例2年の交代が伸びたのでしょうか、決選投票にもならず、1回の投票で決まったのは、医局の運営に対する評価の証でしょうかいかなる事情であれ、今年度も医局長をすることになりました。できることから一つ一つ行っていきたいと思います。
この1年を振り返ると、医療安全に重きを置く体制と手術症例の増加による人員確保の板挟みのような状況下、少ない医局員と各診療科からの応援、前期研修医で何とかやりくりしたのが現状です。どの診療科も医局人事に苦労されていますが、その中で、手術室の運営にご協力いただきありがとうございました。感謝します。熊本地震では、DMATの出動要請や緊急事態体制で青森から学会参加を取りやめ、戻されたり、予定されていた野球大会も延期になったりと、楽しい出来事は少なかったように思います。年度末には4月から復帰される育休明けの医師の保育所の確保で管理課や人事課とも交渉しました。
新年度に入り、現在の勤務体制でこのままやっていけるのか、年次休暇や研究日を与えることができるのかシミュレーションする毎日です。女性医師の増加とともに子育て中の勤務や男性医師との役割分担に悩む部分があります。政府は労働法制の整備を進めつつありますが、医師については5年程度の猶予期間を設けるとのことです。私を含め、パートナーに負担を押し付けていないか考えましょう。
私自身、4回目の年男になります。規定では今年が最後の医局長です。1年があっという間に過ぎるよう頑張りたいと思います。
麻酔科医局長 佐藤 輝幸
ESC congress in Roma 2016に参加して
ローマで開催されたESC (欧州心臓病学会) Congress2016に参加させて頂きました。
「洞房結節の自律神経応答におけるHCN4チャネルの役割」について発表してきました。
が発表前日、このチャネル自体がcircadian rhythmを持ち、自律神経支配から外れてもチャネル発現量や電流量が日内変動するという衝撃的なデータが発表されました。
私のテーマと表裏一体であり、みた瞬間つーんと心臓が痛くなりました。
この感覚は、研究アルアルで醍醐味らしいです。早く、論文にしなくては。
発表本番は、示唆に富むご質問やご意見を頂けて大変有難かったです。
その中で、前日とは違う意味で胸を打つ瞬間がありました。
核をついた質問をくださる方の名札を凝視したら、その名が、よく読んでいる関連論文のfirst authorだったのです。嬉しくて興奮すれど英語が出てこない。もどかしく、、もっと語学堪能になりたいと切に願いました。
されどローマの地で、二次元の論文が三次元になったような貴重な瞬間でした。
ご指導ご鞭撻くださった先生方、本当にありがとうございます。
一つの励みとなり、今後も地道に精進しようと思いました。
南イタリア観光もしました。
滞在中は雲一つなく晴れ渡り、歴史を物語る遺跡や街並みは美しく、人は底抜けに明るく温かく、イタリア大好きになりました。目まぐるしいヨーロッパ情勢ですが、この国にはそれを乗り越える大きな明るい何かが在る様に感じました。
最後になりましたが、手術室が忙しい中大学院で研究させて頂きこのような機会を頂けたこと、心より感謝申し上げます。
日本ペインクリニック学会第50回大会
2016年7月7日〜9日、パシフィコ横浜で日本ペインクリニック学会が行われました。3日間参加させていただきました。
今回、Raczスプリングガイドカテーテルによる神経剥離術について発表しました。この手術は、韓国で1日10例程行われていますが、日本では術中で使うヒアルロニダーゼの保険適応の問題があり、あまり普及しておりません。学会には韓国からも数多く参加されており、会場はとても賑やかなものとなっていました。当科の山田先生がヒアルロニダーゼを使わない方法で手術を行うことを考案され、今回の発表に至りました。そのため、発表後は多くの質問が飛び交い、有意義な時間を過ごすことができました。
講演の中で、『国際疼痛学会では「痛みは、組織の実質的あるいは潜在的な障害に結び付くか、このような障害を表す言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験である。」すなわち「痛みは感覚でもあり感情でもある。」としています。』という話がありました。ペイン外来でも、緩和の病棟においても、性格が朗らかで楽観的な患者さんのほうが同じ病態を示していても、疼痛が少ないことを感じました。疼痛に対しては多角的なアプローチが必要になってくるのだと思います。
また、PECSが帯状疱疹後神経痛や肩関節運動の回復に有効であるということが言われていました。今までは手術の創部痛に対してのみ行っていたので、新しい考え方を取り入れることができました。
その後は横浜の海風をうけながら、散策したり、夜景を眺めたりして過ごしました。
このような機会を与えてくださり、ありがとうございました。また、指導に当たってくださった山田信一先生、津田勝哉先生には大変お世話になりました。
今後の診療において今回得た知識を生かしたいと思います。