第116回日本産科麻酔学会に参加しました。

2012年12月8-9日に埼玉県大宮で行われた日本産科麻酔学会に参加してきました。羽田空港から会場のすぐ近くの大宮駅まで高速バスが出ていたので、比較的移動は楽でした。

会場に到着したのがお昼過ぎていたのですが、コロンビア大学名誉教授の森島久代先生の特別講演には間に合いました。産科麻酔学領域での基礎・臨床研究で、妊婦と新生児により安全な麻酔を施す道を開拓されてきた森島先生のお話は、興味深いものでした。中でも印象に残っているのは、抄録数が論文数を上回らないように、というお言葉でした。日々の臨床に追われている私にとっては、身の引き締まる内容でした。
シンポジウムでは海外からの先生方の講演を同時通訳で聞くことができ、充実した内容でしたし、大川賞受賞候補演題では質問も飛び交っており活気のある学会でした。


夜は東京に出て、三島先生御用達のお店でおいしくボリュームのあるステーキをいただきました。発表前の緊張もほぐれてとても楽しい時間でした。おごちそうさまでした。

翌日は、朝から無痛分娩についての講演を聴きました。久留米大学では無痛分娩の対象をリスクのある妊婦さんに限定して計画分娩で行っていますが、その病院では計画分娩は行わずに、麻酔科医も担当を決めずに誰でも無痛分娩に携わっていけるように目指していると話されており、そのためには、プロトコールがある程度しっかりと確立されているようでした。

そのあと、内腸骨動脈内バルーンカテーテル(IIABC)を留置した全前置癒着胎盤合併帝王切開で大量出血を来した症例のポスター発表をさせていただきました。今回の症例ではIIABCでは大量出血を完全には阻止できなかったけれど、産科危機的出血に対する予防的IVRも近年では普及してきており、カテーテルの留置部位や適応について今後更なる検討が必要だと思いました。

関連病院である大牟田市立総合病院からも今村先生が発表されていました。落ち着いた発表で、難なく無事に発表を終えておられました。お疲れ様でした。



その後はランチョンセミナーで、帝王切開における脊髄くも膜下麻酔後の血圧低下に対する輸液と昇圧薬の役割について、お話を聞いてきました。輸液は、晶質液⇔膠質液、preload⇔coload、昇圧薬は、ephedrine⇔phenyrephrine、どう使用すべきか等々についてお話しいただき、勉強になりました。

リフレッシャーコースでは、麻酔科領域に限らず産科領域の内容もあり、わかりやすい内容でした。

産科麻酔学会では産科の先生も参加されていたのもあってか、女性医師が多い印象を受けました。初めて産科麻酔学会に参加してきましたが、興味深い内容のものも多く、勉強になりました。
今回、発表の指導をしてくださいました先生方、学会中に当直をしてくださった先生方を含め、医局員のみなさまにこの場をおかりしてお礼申し上げます。ありがとうございました。