第42回SCCMに参加して

 2013年1月18日から22まで第42回米国集中治療学会に参加し、ポスター発表したので報告します。
今回はプエルト・リコでの開催でした。プエルト・リコは現在アメリ自治領で、本土からの避寒地としてこの時期は多くの旅行者が集まってくるようです。地理的には中米でキューバ、ジャマイカなど大きな島が並ぶ大アンティル諸島の最東端に位置します。110年ほど前までスペイン領であったことからスペイン語と英語が主たる公用語です。首都サン・ファンのメトロポリタン地区には近代的なリゾートホテルが立ち並び、アメリカのリゾート地らしいにぎわいを見せていますが、数キロ離れたオールド・サン・ファンと呼ばれる地区は完全にスペイン?です。私は救急医学のT先生とH先生と空路プエルト・リコに向かいました。
 往路は日本時間の18日(金)に出発予定でしたが、前日17日は九州北部地方は生憎の雪、その為3人で博多駅近郊のビジネスホテルに前泊しました。18日、福岡から成田、成田からダラス(フォートワース)経由、プエルト・リコとなる空の旅でした。丸一日の長い旅でした。プエルト・リコには現地時間18日の20時過ぎに到着しました。ホテルは海沿いのいわゆるリゾートホテルです。ところがチェックインの際、ちょっとしたトラブルに遭遇しました。何と私とH先生のクレジットカードが使えないというのです。お互い2枚づつ持っていましたが、いずれもダメでした。理由はよくわかりません。日本のカードでインターナショナルでないからだともいわれました?がナンセンスな答えでした。翌日近くの銀行でキャッシングして現金の調達を指示されました。正直、トンデモナイ所に来てしまったと少し後悔しました。しかし幸い、別のホテルに宿泊予定のT先生のカードは使えたとのことで(それでも1枚は使用できなかったとのこと)命綱は確保した気分になりました。その日は暗い気分のままホテル前のデニーズでハンバーガーを食し、その後就寝しました。
 翌朝(19日)、H先生から「先生、近くのSubwayではカードが使えましたよ」という、うれしい知らせを聞きました。私はその足で、もう一度フロントに駆け込み、再度カードの状況を確認しました。うれしいことに「何の問題もありません」との返事。昨日の件は一体何だったのか?私は気分を良くし、そのまま学会会場の下見に出かけました。シャトルバスが巡回していたのでそれを利用しました。会場までは約10分程度。早速、registrationを行いました。米国の他の学会はよく知りませんが、ベースがだいたい1,000ドルと高額です。これは日本に比べスポンサーが少ないことも起因しているようです。それでも私にとってはカード決済できた喜びの方が強かったように思います。下見を行った後は、オールド・サン・ファン地区にある世界遺産に登録されているエル・モロ要塞に3人で観光に行きました。エル・モロ要塞は海賊や他国軍から身を守るために16世紀初頭に建設され、かつての砲台も置かれています。要塞から眺める大西洋の景色はとても美しく絶景でした。たまたまその日はフェスティバル(詳細は知りません)があり、結構なひとで大賑わいでした。
 第3日目(20日)、朝から学会会場へ向かい、ポスターを展示しました。今回は久留米大学からは3演題が採択されました。聞くところによると、採択率は大体25%のようです。私は2演題を発表し、タイトルは①「comparison of two membrane hemofilters (polymethyl methacrylate vs. polyacylonitrile) for absorption of high concentrations of IL-6 and HMGB1 in human waste plasma」、②「An in vitro study of the ability of a PMMA membrane hemofilter to adsorb a high concentration of interleukin-6 in human waste ascites under a spiked recovery test」でした。同日、約1時間ほどかけて、Professor walk roundsがありました。私の英語力が??なので、うまく伝わらなかったかもしれません。個人的には面白い内容だと思うのですが、PMMA膜は本邦でしか使用されておらず、そのあたりがうまく伝わらなかったと思います。Professorも「この膜は使ったことがないからね」なんてことを言っておられました。最新のsurviving Sepsis Campaign Guideline 2012ではRenal Replacement Therapyのことが述べられていますが、特定の膜の限定はなさそうです。
夕方はマルイシ協賛でタフツ大学のRichard R. Riker先生のPain, Agitation, Deliriumの最新ガイドラインの講演がありました。話によるとこれを纏めるのに約7年を要したとのことでしたが、私の聞き間違いかもしれません。その後Riker先生も一緒に懇親会でした。日本集中治療医学会理事長の岡山大学の氏家教授をはじめ日本人だけ10数名いたでしょうか?遠いかの地での楽しい一時に感謝。プエルト・リコラム酒の本場で、なかなかおいしいと思いました。
 第4日目(21日)、朝から宿泊先のホテルのエレベーターでRiker先生にぱったり。昨日のお礼を述べ、学会会場へ。最新のsurviving Sepsis Campaign Guideline 2012の講演を拝聴しました。何処もガイドライン目白押しです。今後も最新版をもとに積極的に治療が行われて行くのでしょう。夕方はプエルト・リコでの最後のディナー。我々の滞在ホテルの近くのレストラン(実は一昨日まえにそこを通りかかったらすごい行列でしたので、そこにしようと決めていました)で3人で食事。あまり冒険はせず、シュリンプのリゾット、フィレステーキを2品オーダーしましたが、特にシュリンプリゾットの味は格別でした。
 第5日目(22日)、朝8時にチェックアウト。ところがここでまたアクシデントが発生。また私のカードにいちゃもんが・・。暫くもめた後、クレジットカード2枚のコピーを取られ一応一件落着?。理由はまたもはっきりせず。行きも帰りもクレジットカードに振り回されました。復路はニューヨーク(JFK)経由、羽田着でした。機内食では寿司一貫がでたのですが、あまりのまずさに・・。羽田には23日(水)の22時過ぎに到着し、第2ターミナルエクセル東急ホテルに宿泊。24日(木)9時過ぎの便で空路福岡へ。帰りの羽田でチェックイン後出発口の待合所近くのおにぎりや「蔵」という店があるのですが、久しぶりに食べた本場日本のおにぎりは格別でした。本当に美味でした。自分が日本人であることを再認識しました。
 最後に牛島教授をはじめ、医局員の皆様、このような機会を与えていただきありがとうございました。