ルーズベルト島さくら通信

久留米大学麻酔学教室の皆様、ご無沙汰しております。2012年10月から始まった留学生活も早いもので半年が経ちました。仕事の上ではまだまだ試行錯誤が続いていますが、こちらでの生活にはずいぶん慣れて楽しく過ごしています。私の住むルーズベルト島は久留米に遅れること3週間、いまようやく桜が見ごろを迎えましたので、桜の写真とともに島の様子をお伝えしたいと思います。
ルーズベルト島はマンハッタンの東を流れる文字通りEast Riverにある、いわゆる中洲です。騒然としたマンハッタンとは川を隔ててすぐ隣に位置しますが、商業施設も企業のビルもない、福岡の中州のようなお店もまったくない(泣)、住宅を中心としたとても静かな田舎です。

写真はアパートから30mほどの広場で、奥のビル群はマンハッタンです。立派な橋がありますが、あいつは島をまたいでいるだけで、あの橋ではマンハッタンへ渡れません(怒)。右手奥に見える白く低い建物が地下鉄の駅で、マンハッタンへはこの地下鉄か橋のすぐ手前を渡るロープウェイを使わなければなりません。実はロープウェイの赤いゴンドラが、桜と橋の境目くらいにゴマほどに写っています。この広場を囲むようにスタバ、日本食レストラン、ドラッグストア、スポーツバーなどがあり、近所でけっこう事足ります。



さて、家から島を川沿いに北へ400mほど歩きますと島につながる唯一の陸路である橋(筑後川昇開橋に似てますね)があり、歩いて渡れるのですが、マンハッタンとは反対側のQueensにつながっています。車を持たない我々はこの橋を渡り、皆さんもご存じ”Costco”へ30分くらいかけて歩いて行きます。企業に駐在のリッチな奥様とかに話すとびっくりされます。買い物をしたあと子供を背負い、ベビーカーに山積みにした荷物を必死に押さえながら帰る私の姿を見た日には、きっと皆さんの笑いか涙のどちらかを誘うことでしょう。


島の北端に着きました、はい、これといって何もありません。ちょっとした燈台とヒマそうな釣り人くらいです。でもいいんです。不審な輩はいないし、車も少ないうえに超ゆっくりで、安全なことといったらマンハッタンはおろか近隣のブロンクスやブルックリンとは異次元と言っていいくらい比較になりません。橋でマンハッタンに繋がっていないのは、案外いいことかもしれませんね。







ではこんどはマンハッタン側を南下して、私の大好きな超かわいい教会を見たあとは、時間もちょっと変えてみましょう。マンハッタンの中にいるとなかなか風景は楽しめないものですが、外から眺めるとマンハッタンは時間に応じてさまざまな表情を見せてくれます。

夕暮れ時、先述の地下鉄駅付近からの撮影です。青く光るのが私の勤務するWeill Cornell(ワイル・コーネル) Medical College、なんと川ぎりぎりまで大学病院のビルで、川沿いの道路をまたいで限界まで土地を利用する様はマンハッタン独特と言えます。それよりも手前左側に見える川沿いの建物はすべてRockefeller Universityです。






島の最南端にはフランクリン・ルーズベルトを記念したFour Freedom Parkがあり、これは偶然にも私たちが到着したころに完成したようで、そこそこの観光客を集めていました。でもまあぶっちゃけ、特になんか遊べるわけでもないどうってことない広場です。どうせならルーズベルトさんを着ぐるみのユルキャラに仕立ててテーマパークでも造ればいいのに。ちょっと怖い銅像の裏側はこうなっています。

公園のさらに南端にはなぜか足湯のような水場があり、わざわざ手すりまでつけておきながらDo Not Enterだそうです。どうでもいいんですけどね。すみませんLab meeting明けの疲れでいい加減なコメントが続きました。

アメリカで桜といえばワシントンですが、ここルーズベルト島もマンハッタン近郊では桜の名所として知られていて、撮影の前日には桜まつりと題して以外に立派なイベントが行われていました。島の南側からは国連本部が見え、クライスラービルも写っています。








そして最後に紹介するのが島人の愛するトラムウェイです。真紅の美しいゴンドラはくすんだニューヨークの街並みでひときわ目を引きますし、ゴンドラからの眺めはマンハッタンに向かう人を元気づけ、家路につく人の心を癒してくれます。運行中には誰かが必ずシャッターを押していますし、「ほらいまエンパイアステートビル見えるからあっち撮りなさい」と指導するおばちゃんがいたり、みんなが大好きな乗り物です。





どうですルーズベルト島?いい感じじゃないですか?環境だけでなく、家賃の割に広い家やセキュリティがしっかりしているなどの要素も相まって、マンハッタンからの遊びに来るお客様たちも島の環境はとても気に入ってくれます。中洲のようなお店がないのは島人を代表してお詫び申し上げます(誰に?)が、ニューヨークへおいでの際はくれぐれも素通りなさらず、どうか強制的に遊びにいらしてください。