第20回日本緩和医療学術大会

第20回日本緩和医療学術大会へ参加してきました。

パシフィコ横浜です。良い天気ですね。
今回中でも注目したシンポジウムは「SY32 地域包括ケア時代の在宅がん緩和ケア」です。現在厚労省としても自宅での看取りを地域レベルで推し進めています。実際、今回の学会でも「在宅」「地域」というキーワードはたくさんありました。背景には様々な要因がありますが、ここでは割愛させて頂きます。

3名の演者がそれぞれ15分間の講演を行い、残りの45分を討論にあてるという形式でした。演者の2名は医師であり、まさにセッションのタイトル通りの各々がご活躍され、成功されている地域包括ケアシステムのモデルケースの紹介でした(ざっくりしすぎて申し訳ありません)。なかでも印象に残った言葉は白髭先生の「これからの時代には患者自身に【看取られる権利】がある。」というお言葉でした。当然だろうと思う方もいるでしょうが、言葉の意味を考えると、とても深いお言葉だと思いました。

そして、今回最も衝撃を受けたのは、実はこのセッションの最後の演者であったはずが、諸事情により?最初の演者となった、鈴木美穂さんの講演です。
鈴木さんは医師および看護師でもなければ、医療従事者でもありません。某大手テレビ局の30代前半の記者です。実はこの方は、24歳で乳がんStageⅢを発症し、各種治療を行ってきた、がんサバイバーなのです。現在も記者としてご活躍されながら、若年性がん患者のための患者会「STAND UP」、がんサバイバーのための各種ワークショップを行う「Cue」というプロジェクトを行っております。そして、更にはがん患者、家族、医療者といったがんに関わる人ならいつでも無料で利用できる「マギーズセンター」を日本(まずは東京)に作るという「NPO法人maggie’s Tokyo project」の代表でもいらっしゃいます。マギーズセンターって何?という方、詳しくは是非ホームページを見て下さい。英国での話ですが、名前を聞くだけで個人的にテンションのあがる大好きな黒川紀章さんが設計されたセンターを利用できるなんて、英国の方は不謹慎ながら羨ましい限りです。

こんな素敵で壮大なプロジェクト、もう動いてます。考えに賛同できる方の寄付、チャリティのみで運営していく必要があるとのことで、私も早速寄付させて頂きました。なんと!T-Pointでもクレジットカードでも募金できるのです。時代はここまで進んだのですね、びっくりです。これからマギーズセンターがどうなっていくのか陰ながら応援しつつ、楽しみにしていきたいと思います。

これは東京の地域包括ケアの限定的なお話しですが、今後マギーズセンターもしくはそれに近いものが日本全国で広がって行けばいいなと思いました。

7月4日(土)午前10時30分から鈴木さんが関わられた「Cancer giftがんって、不幸ですか?」という番組が地上波にてTV放送されます。がん診療に関わる医療従事者だけでなく、皆さんに見て欲しいと思います。が、福岡での放送は現時点では未定でした…東京の友人に録画して貰い拝見することに致します。福岡でも放送して下さい。

シンポジウム終了後鈴木さんとお話しをさせて頂けました。とても明るくて、パワフルな女性でした。某大学の先生も質疑応答にて仰っていましたが、この方ならプロジェクト運営が上手くいく気がします。


(鈴木さんには許可を頂いて掲載しています)

最後に、人生やこれからの診療を考える良い機会を与えて頂き、有難う御座いました。